M16の散開星団を見るならドブソニアンを持ち出すまでもない対象だが、星団と重なる「わし星雲」はぜひとも見てみたい。8cm屈折望遠鏡だと、透明度が非常に高い晩に自宅でも星雲の存在が確認出来たことがあるが、たいていは空の暗い場所でも眼視では星雲の存在ははっきりしないことの方が多い。
この晩の空は、この時期としては透明度も高く比較的良い条件だったので、期待して見てみたのだが、S字状に並ぶ星々の片方のループのなかほどが微かに明るくなっていて星雲の存在が感じられる程度で、すぐ近くにあるM17オメガ星雲の本体がクッキリと見えるのとは対照的だった。光芒は円形や正方形よりも長方形であるような感じが何となくあって、その意味では鳥が羽を広げて飛んでいるように見えなくもないが、これをもって「わし星雲」と呼ぶのは無理がある。その光芒はあまりにも淡く、星雲に重なる「ゾウの鼻」と呼ばれる暗黒帯の存在はおろか、星雲の濃淡ですら感ずるまでには至らなかった。
しかし、写真で見ると淡いながらも暗黒帯の存在も確認できる。基本的には、この短時間露光のコリメート撮影で写る対象は、眼視でもなんとか見える場合が多いので、初夏の透明度の高い晩なら眼視でも「わし」のような星雲の概形や暗黒帯の存在が確認できるかも知れない。
M16散開星団
2011年7月6日0時23分- 1.6sec. x 64 shots
撮影地:長野県富士見高原