ドブソニアン望遠鏡を手に入れたら絶対に見てみたいと思っていた天体の代表が、はくちょう座の網状星雲だ。M51も見てみたいと思っていたが、M51は8cm屈折望遠鏡でも確認することが出来るのに対して、網状星雲は大きく広がって非常に淡く8cm屈折望遠鏡では見ることが不可能な対象だけに、夏が来るのを楽しみにしていた。ドブソニアン望遠鏡だと、単に存在が確認できるだけでなく、空の条件が良ければフィラメント構造も見えるというような記載も目にしたことがある。フィルターを使用した方がよく見えるらしいが、梅雨の中休みの貴重な晴れ間の晩に、まずはフィルターなしで挑戦してみた。
最初は52番星を目印にしてNGC6960を導入してみた。どうやらボンヤリと星雲が見えているように思われるが、52番星が明るいために非常に見にくい。そこで、ファインダーで52番星からNGC6960と「こ」の字に相当するあたりに見当をつけて望遠鏡を向けると接眼レンズを覗き込んだ。
「見えた!!」と思わず声を上げた。みかけが大きい星雲で視野には収まりきらないので、望遠鏡を少しずつ移動させながら、ゆるやかな弧を描いて広がる星雲の全体像を味わう。星雲の姿は、間違いなく確認することができたが、その名前の由来となった網状の構造までは確認することができなかった。
郊外にある山中(ぴんたんさんの光害指数で14強)で天頂に位置している時間帯での観望で、いるか座の星の並びが肉眼でも確認できるようなマズマズの空ではあったが、光害と湿気の影響で空がうっすらと白っぽく見えていた。このくらいの条件でも存在は十分に確認することが出来た。
写真は、星が流れて写ることを承知の上で露光時間を5秒に設定して撮影しコンポジット処理したものだが、右上から左下に長い弧を描く星雲の一部が写っているのがわかる。眼視では色合いはわからないものの、この写真よりも鮮明に星雲の存在は見えていた。写真では星雲に濃淡がある様も写っているので、さらによい条件なら、確かにレース状の構造も眼視で確認することができるかも知れない。
NGC6992-5
2011年6月29日0時42分- 5.0 sec. x 26 shots
撮影地:南アルプス市櫛形山山麓